いまやハリウッドにまでその名を轟かせているスタジオジブリ。
そんなジブリ映画のプロデュースを一手に担うのが名プロデューサー・鈴木敏夫さん。
ジブリも初めから順調だったワケではありません。
宣伝のやり方に疑問を持った鈴木さんは大企業を巻き込み、映画の公開前に大々的に宣伝をする手法に打って出ました。
その結果「千と千尋の神隠し」では国内最高の304億円の興行収入を獲得、日本映画界を席巻しました。
今回はそんな鈴木敏夫さんから仕事に対する術を学びたいと思います!
アイスブレイクは相手を見てから
アイスブレイクとは、初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐし、コミュニケーションをとりやすい雰囲気を作り、そこに集まった目的の達成に積極的に関わってもらえるよう働きかける技術を指します。
会議や打ち合わせで不可欠と言われるアイスブレイクですが、鈴木さんのアイスブレイクの特徴は、相手の顔を見て話す内容を決めることです。直接会って顔を合わせた段階で相手の好きなものを予想する。慣れないうちはとても難しいスキルですが、何度も経験を積み重ねていく事で磨き上げられていきます。
何より、「今日の天気」「交通手段」など定番のもので会話を始めるよりも、相手へしっかりとした関係を築きたいという気持ちが伝わるでしょう。
仕事にアクセントを
左:鈴木敏夫 右:宮崎駿
プロジェクトに関わるスタッフのモチベーションを上げることも、リーダーの重要な務めです。
鈴木さんが職場に持ち込むのは、
仕事を単調にしないための色々なイベント。
通常1人のアニメーターが1週間に描くのは5秒分の絵ですが、鈴木さんはある時それを倍の10秒分描くことをテーマにしたのです。もちろん現場からは不満の声も上がりましたが、同時にスタッフの中で様々な創意工夫が生まれました。
心理学で『馴化』という言葉があります。これは、同じ刺激を繰り返すことによって徐々にそれへの反応が薄れてゆくことです。
同じペースでずっと仕事をしていては、それ以上はペースもモチベーションも上がりません。
鈴木さんは多少強引でもペースを大きく速めることで、単調な仕事にアクセントを加え、時間あたりの生産性の向上に成功したのです。
情報源は人から
テレビやインターネット、私達の周りには多くの情報が溢れています。
情報が多いからこそ、その中から自分に必要な情報を選ぶ事が難しくなります。
しかし、鈴木さんの情報のアンテナはなんと
自分の半径3メートル以内。これは自身が出版社にいた時にマスメディアから発信される情報は半年から1年遅れていると感じた経験があるからだそうです。
「もっとも信頼のおける情報源は、自分から半径3メートル以内。その中で、みんなが何を読んで、どんな音楽を聴いて、どんな映画を見て、そして何を考えているか。そこに現代があるんですよ。」
企画やマーケティングで壁にぶつかったら、隣の人に話しかけてみると「リアル」な情報が聞けるはずです。また、聞かれた人は「情報源として信頼されている」と感じ、より強い信頼関係を築く事が出来るでしょう。
いくつか鈴木さんの仕事に対する考えを書きましたが、それでも悩んだり壁にぶつかった時は鈴木さんの正直な本音を思い浮かべてみてください。
「はっきり言えば、すべて自分の居心地をよくするためですよ。周りの人がその気になってくれれば、一番得をするのは僕なんだから。」
この言葉だけを読むと自分勝手な人だと感じてしまいそうですが、これまでの仕事に対する考えと合わせてみると周りの人を育て、信頼関係を築く事で自分や仲間と一緒に仕事を成功へと導こうとする言葉だと感じるのではないでしょうか。
こういった考えでチームを引っ張れるリーダーになる事ができれば、大きな仕事も成功させる事が出来るでしょう。