夜が早い、つまり閉店時間が早くて夜遊びする場所が少ない…と言われがちの奈良。そんな
奈良に世界一のバーがあるのをご存じでしょうか。バーテンダー世界一を決める大会で、見事ナンバーワンに輝いた
「LAMP BAR」。
「LAMP BAR」の店主・
金子道人さんは、2015年8月末から9月頭にかけて南アフリカで行われたバーテンダー世界一を決定する大会「グローバルファイナル 2015」に出場し、見事グランプリを獲得。
今回はそんな総勢
約2万人を超えるバーテンダーたちの頂点に立った金子さんから仕事に対する術を学んでいこうと思います!
金子さんが世界一になることができた理由を尋ねると「
いい意味で、吹っ切れたからではないでしょうか」と言う。
それまでの金子さんはコンクールが近づくたびにイライラしたり、ナーバスになったり、大会中もひとつのミスで大きくリズムを崩してばかりいたそうです。
そんな金子さんがなぜ世界大会でも終始落ち着いていられたのでしょうか?
店の営業は一人で行い、それだけでも手一杯で練習する時間も満足にはとれなかったそうです。そのうえ大会前の時期には子供が生まれ、プライベートの時間もほぼ無くなってしまったのだとか。
「そういう忙しさの中でも、世界を意識しながら、工夫して練習を続けてきました。同時に、忙しい毎日が積み重なることで、精神的になにかが吹っ切れたんです。もう
『変に緊張してもしゃあない。自分がやれることはきっちりやってきたし』、という感じで、いい意味で、前向きに開き直ることができたんです」
忙しいなかでも
きっちりと準備を進め、普段の営業から練習を積み重ね、世界を意識してきた金子さんだからこそ、世界の大舞台でも「いい意味で開き直れた」んでしょうね。
「プレゼンテーションの練習する際は、絶対に1人ではやらない、と決めていました。
必ずだれか見てくれる人がいる前で練習するようにしました。後輩バーテンダーだったり、近所のバリスタの方だったり、まったく飲食経験のない知り合いの方だったり、とにかく周囲の方々が時間を割いて僕の練習に付き合ってくれたんです」
周囲にいる人々をことごとく味方につけてしまうのも、金子さんの人柄であり、バーテンダーとしての資質のひとつですね。
大会でのチャレンジ、
プレゼンは全て日本語で行ったという金子さん。英語が苦手だったことも理由の一つですが
「大切なのは英語の能力では無く、バーテンディング」という想いがありました。
「もちろん英語が喋れないなりにコミュニケーションは取りました。臆せず、ひるまず、自然体で、常ににこやかにしているように気をつけ、店に言葉が通じないお客さまがいらっしゃった時にも、
表情や身振り手振りでコミュニケーションは取れますから。」
言葉は通じなくても表情や振る舞い、接し方だけでも伝わるものは伝わるもの。
「人をもてなそうとする心」が一番重要なんですね。
「日本人の所作、清潔感、テクニック、一人ひとりのゲストをきちんともてなそうとする姿勢は、世界でも十分に通用するし、それ以上に世界の人々を感動させられるんだ、と痛感しました」
今後は自分が培ってきた
「ジャパニーズバーテンディング」を世界にしっかりと伝えていきたいと語る金子さん。
お酒が得意でなくても、飲み手に合わせたものを作ってくれるのでお酒好きもそうでない人も、奈良に行かれた際は是非訪れてみてください。
「LAMP BAR」
住所 奈良県奈良市角振町26いせやビル1階
時間 17:00〜翌2:00