コ・イ・ヌールとは
「コ・イ・ヌール」は今から5000年以上前にインドで発見された世界でも最も古い歴史のあるダイヤモンドです。
採掘された当時は約1000カラットもあったといわれる巨大なダイヤモンドで、5000年間数々の支配者、権力者の手を渡り歩いていきます。
歴史上の書物に初めて登場したのは1304年のインド国王マルクによって
「聖なる宝物」として記されています。この時はまだコ・イ・ヌールという名前はありませんでした。
その後戦争を経てムガル帝国皇帝などの手に渡りコ・イ・ヌールは「支配者の象徴」として扱われます。
1739年、ペルシャのナディル王がインドに攻め込み、ムガル皇帝のターバンの中に隠されていたダイヤモンドを見つけると
『コ・イ・ヌール!(光の山だ!)』と叫び、喜びと驚きをあらわにしたと伝えられ、その言葉からこの巨大なダイヤモンドは『コ・イ・ヌール』と呼ばれることになります。ペルシャ語だったんですね。
186カラットから105カラットへ…
その後さらに様々な権力者へと移っていくコ・イ・ヌールですが1851年に大きな転機を迎えます。
イギリス女王、ビクトリアに贈られたコ・イ・ヌールはロンドンの万国博覧会に展示。
「世界最大186カラットのダイヤモンド」として大々的に飾られ、多くの人が一目見ようと集まりました。
しかし評価は散々…。
人々が期待していたダイヤモンドの輝きは無く、そこには荒削りのオールドインディアンカットの石の塊がありました。
当時の新聞には「無色で純粋な水のようだが、輝きの美しさを表現する良い形にカットされてはいない。 ヨーロッパ的なカット方法によってカットされれば、サイズは小さくなろうが価値は上がる。改良されれば、ヨーロッパで最も美しいダイヤモンドの一つに数えられるであろう」と書かれる始末。
これによりビクトリア女王は
コ・イ・ヌールのカットを決断。105カラットまで大きさは縮小してしまいましたが、これにより現在に伝わるブリリアンカットのコ・イ・ヌールが誕生しました。
現代の価値に換算すると?
「コ・イ・ヌール」は売買取引されたことが無く、歴史的価値も大きいものなので推定価格といったものはありません。
世界最高額の値段がつけられたダイヤは世界的なオークションハウス、クリスティーズで落札された35.56カラットブルーダイヤモンドで
1639万ポンド(約26億5500万円)だそうですがコ・イ・ヌールはカット後でも105カラット、単純計算で約3倍しても
約90億円…。そのすさまじさが伺えます。
現在ではロンドン塔のジュエルハウスで展示されており、ミュンヘンの好物博物館ではインド時代のカット前と、ブリリアントカット後のイミテーションが展示されており、その大きさを実感することが出来ます。
世界の権力者たちが血眼になって求めたダイヤモンド「コ・イ・ヌール」一目見たらかならずやその輝きは貴方に刺激を与えてくれるでしょう。